「エヴァって結局、誰が悪いの?」

その答えにたどり着くには、まず全ての元凶である、ある宇宙人たちの物語を知る必要があります。

エヴァンゲリオンを語る上で避けて通れないのが「第一始祖民族」という超・裏設定。アニメ本編ではほぼ語られず、ゲーム『新世紀エヴァンゲリオン2』の機密情報で初めて全貌が明かされた、いわば宇宙規模の創造主です。

この記事ではまず、彼らが何を企んでいたのか、その壮大な「種まきプロジェクト」を整理します。


第一始祖民族とは何者か?

ざっくり言えば、

「神様(アダムやリリス)を作った、さらに上位の神様」

です。エヴァの世界で「神」と呼ばれるアダムやリリスですら、彼らから見れば「自分たちのコピー(種)」にすぎません。

彼らは遥か昔、宇宙のどこかに存在した超高度な文明を持つ人型種族でした。しかしある日、母星が寿命を迎え、滅亡することが確定してしまいます。

そこで彼らは、自分たちの種を宇宙に残すべく、ある壮大な計画を立ち上げました。


計画①:「7つの月」プロジェクト

第一始祖民族は、自分たちのコピーを宇宙のあらゆる方向へ送り出すことを決めました。

その方法がこれです:

  • 「月」と呼ばれる巨大なキャリアー(乗り物)を用意する
  • 中に「生命の種(始祖)」を入れる
  • セットで「ロンギヌスの槍(管理ツール)」と「裏死海文書(マニュアル)」を同梱する
  • 宇宙のあらゆる方向へ放出する

放たれた数は全部で7つ。地球に来たのはそのうちの2つ、白き月(アダム)と黒き月(リリス)です。

つまり「月」とは、ただの天体ではなく宇宙人が作った宇宙船だったわけですね。


計画②:「2つの実」で力を分割するという安全策

ここからが彼らの「設計思想」の核心です。

第一始祖民族は、自分たちの完璧な能力を2つに分割して、それぞれ別の種に与えました。神に等しい力を独占させないための、いわば安全装置です。

実の種類 効果 持ち主
生命の実(S2機関) 無限のエネルギーと不老不死の肉体 アダム(使徒の祖)
知恵の実 死ぬ代わりに、科学・文明・心を生み出す知能 リリス(人間の祖)

そして、こう取り決めました。

「1つの惑星には、どちらか片方の種しか着陸してはいけない」

理由はシンプル。両方を持つと「神」になってしまい、制御不能になるからです。創造主の彼らから見れば、自分たちと同等の存在が勝手に生まれることは絶対に避けたかった。


計画③:「種は自分でリフォームできる」万能設計

ここが面白いところ。彼らが選ぶ「移住先の惑星」は、別に最初から快適である必要はありませんでした。

なぜなら、アダムやリリスといった種は、単なる移住者ではなく「開拓工事用の重機」も兼ねているからです。

  • 到着した星が荒れ地でも、自分の力で星全体を改造できる
  • ナノマシン的なテラフォーミング能力を持つ
  • 「即入居可」ではなく「リフォーム前提」の物件でOK

実際、月ができる前の地球は、マグマの海に覆われた灼熱地獄でした。それでも第一始祖民族のナビが「ここはイケる」と判定したのは、現状の見た目ではなく「将来性(海ができる可能性)」を評価したからです。

ハビタブルゾーン(水が液体で存在できる距離)のど真ん中という立地さえ良ければ、内装はあとから何とでもなる──という発想ですね。


計画④:「種の使い方マニュアル」=裏死海文書

そして彼らは、種に関する全ての情報を「裏死海文書」というマニュアルに残しました。

そこに書かれていた内容:

  • 使徒がいつ目覚めるか
  • どうすれば種を制御できるか
  • 2つの実を融合させてはいけないという禁忌

このマニュアルが、後に地球でゼーレという人間の組織に発見されてしまったことが、エヴァの物語を動かす引き金になります(この話は次回詳しく)。


「自分たち自身が移住すればよかったのでは?」という疑問

ここで素朴な疑問が浮かびます。

そんなに優秀な技術があるなら、種なんか飛ばさずに、第一始祖民族本人が宇宙船で移住すればよかったんじゃない?

実は、これにはできない理由がありました。

① 距離が遠すぎて、着く頃には寿命が尽きる

母星から候補惑星までは、光速でも何億年かかる彼方。コールドスリープを使っても、生身の肉体ではその漂流に耐えられません。

② 本国はすでに滅亡が確定していた

「もうすぐ母星が消える」というギリギリの状況での緊急脱出。仮にナビが「地球いいですよ!」と本国へ信号を送っても、届く頃にはもう誰もいません。

③ 実は「種」こそが彼ら自身

ここが哲学的にアツいところ。彼らは「自分以外の誰か」を送ったのではなく、自分たちの魂と遺伝子を圧縮して「種」というUSBメモリに乗せたのです。

リリスから生まれた人類(リリン)は、第一始祖民族の遺伝子と魂を受け継いだ、いわば「彼らの生まれ変わり(劣化コピー)」。

私たち人類が今こうして地球で生きていること自体が、第一始祖民族の移住計画が(形を変えて)成功した証

そう考えると、ちょっとロマンチックですよね。


まとめ:完璧に見えた計画

第一始祖民族の計画を整理するとこうなります:

  1. 7つの月に自分たちのコピーを乗せて宇宙へ放出
  2. 力を「生命の実」と「知恵の実」に分割して暴走を防止
  3. 1惑星につき1つの種というルールを設定
  4. ロンギヌスの槍という安全装置を同梱
  5. 裏死海文書というマニュアルを完備

技術力、安全装置、運用マニュアル──どれも完璧に見えますよね。

ところが、地球ではこの完璧な計画が最悪の形で破綻します。次回はその「誤算と事故」の話。

なぜ地球には2つの種が落ちてしまったのか? なぜ広い宇宙でピンポイントに衝突したのか? その確率は本当に「偶然」だったのか?

次回もお楽しみに!